15.
夕景

ある新しいお店に行きたくて、街をぐるぐる探していたのだ。
が、見つからない。
ぬるい風にどうでもいいような気分になってきて、適当な方角に向かった。
どうでもいいっていうのは、別に投げやりな、ってことじゃなくって、これはこれ。行きたい店にたどりつけないこの
時間を自分なりに、楽しんでいるのである。
しかし、ずいぶん目的の地からは外れてきたような気がした。
突然、開けた視界。
川のたもとは、空への抜けがよろしくて、いいビュウだった。
夕日を見ていたら、妙に感覚がくすぐられた。
空はなんともいえないやわらかいカ−マインとオレンジ。優しくて、なおかつ、サイケデリックな色あいだった。
行き交う人々の中で、自分と、のら猫だけが立ち止まって空を見ていた。
行きたかったお店には、その後、無事だとりつけたのだが、それよりも、自分にとっての今日の収穫は、この夕景を見れ
たこと。
もうすぐ秋。
“ 景色 ”とは、気持ちだ。
( 写真 : あの煙突のような建物をこの距離から見るのが好き )
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